産後の夫婦危機!?旦那が気持ち悪いと感じてしまうなんて…
子どもを産んでからしばらくの間、母親は「子育てモード」に入るため、身体も心もこれまでとは違った反応を見せるようになる……というのはよく聞く話。
マタニティブルーズのように、心が落ち込んだり不安になったりすることはよくあることで、一時的なものだと考えられています。
そんな産後のメンタル不調のなかでも、意外に多いのが「旦那さんを気持ち悪いと感じてしまう」という悩みです。
待ちに待った子どもが産まれ、これからふたりで協力していかなければならないのに。夫婦関係を良好に保つことが、子どもの幸せにもつながるはずなのに。
そんなことを頭でわかっていても、いざ旦那さんを目の前のすると「気持ち悪い」という嫌悪にも似た気持ちが湧いてしまうなんて。
この記事では、産後旦那さんのことを生理的に受け付けなくなってしまった人に向けてお話をしていきます。
なぜ?産後に旦那さんを「気持ち悪い」と感じる深層心理

旦那さんを気持ち悪いと感じる理由のひとつには、当然ホルモンの影響が関係しているでしょう。「産後クライシス」「産後ガルガル期」などという言葉を聞いたことのある方も多いかもしれませんね。
しかし、最初にひとつ言っておきたいのは「ホルモンの影響だけではない」ということです。
産後すぐから最低でも半年間の間、女性の心や体は不安定な状態になります。もちろん個人差はあり、2年以上に渡って続く人もいます。筆者自身も2人の子どもを産んだ当時は産後の情緒不安定を経験しました。
ただ、最初のきっかけはホルモンによる情緒不安や感覚の変化であったとしても、強い拒否反応や抑えられない感情のすべてがホルモンのせいだとは思えません。
自分自身の心の奥にある根深い問題がホルモンの影響によって表に出てきている……と考えたほうが納得がいくのではないでしょうか。
旦那さんに対して「気持ちが悪い」「生理的に受け付けない」「嫌悪感がある」などの、非常に強い拒否反応が出てきたときは「ホルモンによって、私の何が引き出されているのか?」と考えるほうが自然ですし、希望が持てるはずなのです。
産後のホルモン変化の影響で、夫婦の課題点が浮かびあがってくる可能性

「ホルモンの影響で不安定になりやすい」というのは母親学級でも事前に知り得た育児情報でも見聞きしていたこと。
しかし、実際にそれが自分の身に起こったときには「あぁ、これが産後のホルモンの影響だな」なんて、冷静に判断して対処することなど到底できませんでした。
私の場合は、異常に周囲の目が気になったり、外に出るのが怖くなったり、誰とも話したくなくなるなど「自分と赤ちゃん以外を拒絶したい、遮断したい」という思いが強くなったのです。旦那さんへの感情で揺れ動くことももちろんありました。私はもともと「攻撃されたくない」「批判されたくない」「侵入しないでほしい」という自分の心の課題を持っていました。
きっとそれなりに元気なときは、気力や根性でなんとかなっていたのでしょう。心にフタをして「私は弱くもないし、いつでも気丈に頑張れる」フリをしていた部分は大きかったです。
しかし、出産をすると女性の体は大きくダメージを受けます。それに加えて休みなく始まる24時間の育児。
その状況では、普段耐えられること、なんとかごまかしきれる自分の弱点も、自分の力では支えきれないような気がしました。
いつもの自分とは別人になってしまうような感じ。でも、なんだか本当の自分の弱み、恐れなどが出てきているようにも感じました。
旦那さんに対して「気持ち悪い」という嫌悪にも似た気持ちが出てきてしまう、そしてそれを抑えることができないというのは、単純に一時的なホルモンの仕業……として片づけていいものなのでしょうか。
「あなたはもう旦那さんのことを愛せないんだ」なんてことを言いたいのではありません。むしろ逆で、この「気持ち悪い」という気持ちはどこからきているのか?ということを知り、解決できれば、今まで以上に旦那さんを愛せるようになるということです。
人間の心は複雑ですから、突然そのような強い感情がフッと湧いて抑えられないなんてことはきっとないはず。もしかすると、あなたの心のどこかに旦那さんに対するわだかまりや、言いたいけどがまんしていること、目をつぶって見ないようにしている何かがあるように感じてなりません。
旦那さんを気持ち悪いと感じてしまう「自分自身」への嫌悪
もっとも愛すべき、そして協力し合うべき旦那さんに対して気持ち悪さを感じてしまう。その感情に耐えるだけでもストレスフルな状態になる一方で「そんなことを感じてしまう自分」にも嫌になっているはずです。
頭ではすべてわかっているんです。
今、自分が心身ともに疲れているということ。産後は誰でも不調になるということ。夫婦はいつまでも恋人同士ではないということ。心に抱えているものを旦那さんに上手く伝えることができていない自覚など……
言いたいけど言えない。わかっているのにできない。
そんな自分への否定的なジャッジや嫌悪感、罪悪感というものもセットになっていることが多いのではないでしょうか。
あんなに好きだと思っていた旦那さんの話す一語一句が気になる、言葉尻を悪いように捉えてしまう、さらには彼の出す生活音や寝息さえも、受け付けない……。そんなことを思いながらも必死に隠し、子どもに集中しようとしている。
この状況がいいはずないと思いながらも、それを言葉にしたり上手くコントロールできない自分のことも、嫌なのです。
自分の気持ちを言葉にして、周囲に理解してもらうことが大事ですよ……ということは、そこここで言われていることですけど、それができたら今こうして悩んでいないのです。
頭ではわかっているけど、それができない自分への罪悪感が、大きなネックになっているのかもしれません。
旦那さんが「気持ち悪い」という感情、どう解決していく?

誰かのことを嫌いだ、拒絶したいと思うときは、自分の内面の課題が引き出されているという可能性は否定できないと感じています。
また、それが「産後」というとても特殊な状態に置かれることによって、さらにその揺れ動きが激しくなりやすいという状態なのではないでしょうか。
一時的にリフレッシュや気分転換をする……という方法で、解決することではないはず。決して「深刻な問題ですよ」と不安を煽りたいわけではなく「今が、夫婦関係や自分自身を見つめなおすチャンス」という意味です。
子育ては、これから少なくとも20年は続きます。子どもが晴れて成人になるまで、何度も何度も危機や衝突が起こります。そのときに「あのときだって向き合えた」「乗り越えられた」という体験があれば、それは必ず役に立ちます。
本当は、ちゃんと愛したいはずの旦那さんに対して、嫌悪感を持ってしまったり拒絶してしまったりするのは苦しいはずです。そしてその原因となるものに触れるのも、怖いと思います。
ただ、不安という感情は逃げれば逃げるほど増幅していくものです。あえてそこに突っ込んでいくことや、ぶつかっていくことが、先の自分を助けることになるかもしれません。
産後クライシスと、互いの実家との問題・関係性にも注目
最後にひとつ触れておきたいのは、産後の夫婦危機と嫁姑問題の関係についてです。
産後に出てくる旦那さんへの嫌悪感や不満といったもののなかには、義理両親との問題がかなり大きく影響していることがあります。
産後は女性が家を空けることになり、旦那さんが実家の世話になることもあります。義理の両親が赤ちゃんに会いに訪問してくることや、手伝いにきてくれること。
またそういったやりとりの中で、お互いの要望や意見をどう伝えあっていくか……という問題も出てきやすい時期ですよね。
嫁姑問題は、家族関係の構築には見過ごせないものです。
自分と旦那さんだけの問題のように感じていることも、根本的には実家との関係が奥の方で引っかかっており、それが出産をきっかけに表面化しているというケースも大いにあると感じています。
もちろん、それと同時に女性側が実家とどのような関係であるかも、影響がないとはいえませんし自覚がないこともあります。夫婦関係で問題が生じたときに、お互いの実家との関係性に気づくこともあるのではないでしょうか。
「旦那が気持ち悪い」その感情は見えない何かのサインかも
産後は激しいホルモンの変化によって、普段の自分ではないよう感情、感覚になるということは事実です。ただし、そこで直面するどうしようもない問題をホルモンだけのせいにして見過ごすことが、本当に最善策かどうか。
簡単なことではありませんが、目の前の子どもを守るためには夫婦の危機にしっかりと向き合い、本質を突き詰めることも時には必要であると感じています。