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過去50年の社会を振り返る!新しい時代の到来と「意識的な家族づくり」

家族や夫婦、そして子育ては「難しいものだ」と考えている人が圧倒的に多い世の中です。

確かに、近しい関係だからこそうまくいかないこと、ぶつかり合う意見、飲み込んでしまう気持ちなど、そこには様々な人間模様があると思います。

なかには「夫にはもう期待しないことにした」と話す女性や「義理の両親とはうまくいかないのが当たり前だ」という前提で生活をしている家庭も少なくありませんね。

さらに、子育てに至ってはどうしても自分の過去の経験則に頼ってしまうことも多いし、無意識に同じ思考や行動を繰り返してしまい、世代間連鎖が起こってしまうというのもある意味では自然なこととなっています。

しかし、この世界は家族の集合体であるということを忘れたくはありません。どんな人も、家族の中に生まれ、育ち、また家族を作り子どもを設けて……ということが繰り返されている。

そんな中、とても重要なのに意外と重視していない「社会」や「経済」が家族や人々に与えている影響を、過去50年を振り返って考えてみたいと思います。

よりよい家族、健全なパートナーシップや子育てを、目指していくとき、必ずネックになってしまうのが「社会的風潮」や「時代の変化」です。

どんな人も、自分が暮らす日本という国がどういう経緯で今の社会構造になっているのか、漠然と知っているつもりでも、きちんと咀嚼できていないこともあるでしょう。

sourceでは、家族や夫婦づくり、そして子育ての基盤として多くの人に正しく理解していただきたい「社会の全体像」をベースにして情報を展開していきます。

この記事では、社会を知ることで自分や相手を知ることができるという理念のもと、戦後から2020年現在までの社会の流れを、家族の成り立ちと絡めて解説していきます。

「戦争」から復興するために、国は家族を統制した

Photo by Stijn Swinnen on Unsplash

戦争で日本が焼け野原となり、悲惨な状況に陥ったことは誰もが知っていること。しかし、その後の日本社会がどのようにして今日までの道筋を描いてきたのかということと、日本の「家族事情」には非常に深い関係があると、多くの人に知ってほしいです。

第二次世界大戦の終戦は1945年とされていますが、日本は当時類まれなる力を発揮しあっという間に復興を遂げました。そして1956年には経済白書にて「もはや戦後ではない」との発表がされます。

国中に爆弾を投下され、原子爆弾を2発もくらった島国は、たったの11年で完全なる復興を果たしたのです。これは確かに素晴らしい偉業であったといえます。

しかし、経済や社会の発展の裏側では人々が「国の政策」や「社会の変化スピード」に振り回されるようになります。

男は仕事、女は家事の「性別役割分業」

性別役割分業とは、男性は外で働き女性は家庭に入って家事育児をするという国の政策です。企業も、妻子を養う一家の大黒柱である男性に対しては手厚い支援を行うようになり「男性の稼ぎの中で妻や子どもが暮らす」というのが定番の家族スタイルとなっていきます。

そこで生まれたのが、新しい家族の形である「核家族」です。都心の公団住宅が「憧れの住まい」として打ち出されたり、マイホーム主義という言葉が生まれたりしたのもこのころ。

核家族は、人の動きの中で自然に生まれたスタイルなのではなく「国が進めた政策」なのですね。

しかし、核家族の中では母親がひとり子育てをするようになります。母親の孤立によって母子が密着するという関係性も、この頃から既に起こり始めているのです。

メディアが作り上げた父親像・母親像

国が核家族の政策を進めるにしたがい、今度はメディアが「父親たるもの」「母親たるもの」のイメージを作り上げるようになります。

特に当時、経済力を握っていたのは男性です。男性を取り込むための企業や商品イメージはいたるところに仕込まれました。

例えば、1970年に誕生した「男は黙ってサッポロビール」というキャッチコピーのCMがいい代表例です。本来サッポロビールはさわやかなテイストで女性ファンが多かったのですが、商業的には男性のファンを獲得しなければなりませんでした。

商品に「男らしさ」というのを打ち出すために「男は口数の少ない、寡黙で堅物なくらいがかっこいい」というイメージを作り上げたのですね。

厳格で多くを語らないのが当時の理想の父親であり、かっこいい男性像となっていきます。妻と他愛もない話をしたり、妻を褒めたり感謝の言葉を口にしたりするのは男らしくない。「風呂、飯」と厳しく指示するのが男たるもの、父は黙って背中で語る……という「主人の姿」がモデル化されていきました。

さらに同時期、向田邦子氏が脚本を手掛ける「寺内貫太郎一家」というドラマが国民的ヒット番組となったエピソードも有名です。家族に手を上げることをはばからず、気に入らないことがあれば食卓のちゃぶ台をひっくり返すという父親、それを取り巻く家族を描いた作品です。

人情を描いた作品ではありますが、このような「男性」を中心に家庭が回る、父親が一家の空気を握るのがデフォルトであるというイメージは国民に強く根付いていくことになります。このテレビドラマの視聴率は31.3%という大記録を残しました。

また、当時大流行し他少年漫画「巨人の星」の中にも、息子に対するスパルタ的教育をする父親が印象強く描かれています。主人公の星飛雄馬が、反発や口答えなどしようものなら殴り掛かる。お決まりのちゃぶ台返しもあります。それを母親が不安そうに見守るというのは、日本人の中で「当たり前の光景」となっていったでしょう。

メディアの影響で昭和の頑固オヤジが一般化したのは事実であったと考えてよいのではないでしょうか。

当時の文化や社会批判ではなく、事実として知っておきたい

なぜこのようなメディアの話を取り上げるのかというと「このような社会的背景があった」ということは事実であり、その考え方や価値観は私たち現代人の中にもいまだに根付いていると考えるのが自然だからです。

世の中の常識や固定されたイメージは、その次の代に必ず伝承されていくもの。社会的風潮やメディアの影響だけでなく、その影響を強く受けた親からの言葉、表情、態度、思考……毎日毎日、私たちはその価値観を教えらてきた、伝承されてきたということです。

男性は強いものである、そして一家を養う大黒柱的存在であることも、間違いだったわけではありません。時代の流れの中で、その強さや社会的な位置づけがあったからこそ、焼け野原だった日本はここまで豊かな国になったといっても過言ではないでしょう。

しかし、今の時代は全く違う社会構造になっているし、人々の価値観や生き方も多様化している。

それでも私たちのどこかには、当時の時代が生んだ感覚がどこかに眠っているわけです。そのことを自覚しているのと、していないのとでは大きな違いがあると考えます。

団塊の世代、第一次ベビーブーム

Photo by Jenna Norman on Unsplash

やがて世の中は団塊の世代が中心となって回り始めるようになります。団塊は第一次ベビーブームの世代。高度経済成長、バブル期を経験している世代です。

インテリ層の学生は、安保闘争や学生運動に勤しむ人が多かった時代。またその反面、髪を肩まで伸ばしてヒッピーファッションやフォークソングなどの流行を追った世代が中心に社会が回っていきます。

物質的豊かさがものをいう時代に突入

ここからは経済が急速に成長し、誰もが豊かさを実感できる時代になります。いわゆる「バブル時代」です。

「国民総中流社会」と呼ばれ、国民の大半が「自分たちは中流階級である」と認識するようになります。国民の大多数が「自分たちは豊かである」という意識をもつようになったのですね。

この時代になると、もはや戦後の貧しさやハングリー精神は消え去ります。

多くの方が知っているとおり、バブル全盛期にはお金がものをいう時代。より高価なものを、よりたくさん所有する時代でしたね。

学歴、偏差値社会・受験戦争に突入

さらに、学歴社会が到来したことも、家族の形成において大きなポイントになっているでしょう。国民の多くが大学へ進学する時代となり、一般家庭でも教育熱が加熱していきます。

今では当たり前となった「偏差値」が導入されたのもこのころです。偏差値というのは、あらかじめ学生を学力別に分類しおくことで、受験システムを効率よく進めるための制度でもあります。

しかし、画期的システムだといわれているのは表向きで、実は「政府が求める従順な若者」を育てるという目的があったともいわれています。自分たちのレベルを、上が定めたランクに当てはめることにより、自分の限界値や目標設定までもを制限させてしまうようになりました。

若者ひとりひとりが「自分たちの身の程」を、学力のランクで認識してしまう。偏差値制度が常識となった社会では、自分たちの将来を自由に描く、大志を抱くといった考え方ができにくくなってしまったのです。

お金・物質・偏差値・学歴・社会的地位……といった、自分たちの外側を飾るようなことで人々の価値が計られていたわけです。現代でもまだまだこれらにとらわれている人は多いですが、こうして流れを見ていくと自分たちが大事だと思って疑わないことも、実は一時的な社会の風潮で、流行り廃りの一種であることも見えてきますね。

学歴社会と「家族」

Photo by Tanaphong Toochinda on Unsplash

高度経済成長を皮切りに、世の中の家庭では「父親の不在」が多くなります。父親が仕事に励んで社会的地位を築くこと、お金をたくさん持ってくることが家庭においての役割であるという考えが定着していました。

すると核家族の中では当然、母子が孤立します。さらに世の中が学歴社会になっていく中で、母親から子どもへの「教育熱」が高まっていき、母子密着も加速していくという構図は明らかです。社会の流れと家族の成り立ちを関連付けると、非常に理解が深まるのではないでしょうか。

男の子は「お父さんのような立派なエリートに」

女の子は「立派なエリートと結婚できるように」という価値観のもと、育てられてきた人も少なくないでしょう。

しかし1980~90年代は、核家族が世の中に広く定着し始め「母子の孤立」が加速したことにより少年犯罪の件数が過去最多となる時期でもありました。核家族化により家庭は社会から切り離されて、どんどん孤立化していきます。

そして父親も家にはいない、子育てに関わらない家庭が増え始め、子どもの事件が急増していくのです。

子どもの事件は1980年~90年が過去最高で、その後件数自体は減少傾向にあります。しかし事件件数が減少している一方で、事件の内容が凶悪化しているなどという見方もされています。社会の流れと家族、そして子どもの心は密接に関係していることがデータから見てもよくわかりますね。

バブルの崩壊・リーマンショックですべてがひっくり返る

しかし1991年のバブル崩壊によって、人々が築き上げてきた「価値」はひっくり返ります。バブルというその名の通り、あの頃の過剰な好景気は「消えてなくなる」ものだったというわけですね。

利益や幸運を得ようという投機熱によって、過剰に投資されていたことで成り立っていた経済は実体を伴わないあぶくであったということ。

さらに2008年にはリーマンショックにより世界的金融危機が起こります。徹底的に経済へ暗雲が立ち込め、国民たちの中にはも「頑張っても意味ないじゃん」というムードが漂い始めるのです。

「自分たちは豊かである」と国民の大半が意識できていた時代から打って変わって、世の中は格差社会に突入していきます。

女性の社会進出・共働きの増加・男女雇用均等

さらにベビーブームの時代に生まれた段階の世代が年を取っていくことで、高齢化が始まっていきます。

団塊の世代が高齢者となると経済がひっ迫し、かつての「男は仕事、女性は家事育児」という性別役割分業は崩壊。女性も働くことを求められるようになり、共働き世帯の数も加速するようになりました。

女性も仕事を持ち、共働きが増え始めると「男性の協力が必要だ」という声は当然高まります。これは今の現代に引き続いている状況です。

現代では、女性が「労働力」として必要とされているのではなく、男性も女性同じように自己実現していくことや、親としての役目以外に、社会で自分の役割や生きがいを見つけるという考え方も広まっています。

2020年以降は、意識的に家族や夫婦を「つくる」時代

Photo by Luca Baini on Unsplash

現代は女性が仕事を持つことも、家事育児に男性が積極的に参加するのも、当たり前の時代になりました。

しかし、これほどまでに目まぐるしい社会や経済の変化に、私たち人間の意識や心がついていけなくなっていた部分も大いにあるのではないでしょうか。

社会的な男女の役割は、もはやどちらも違いがなくなってきています。

ただ、人間には「生物学的な性別」があり、男女それぞれの本能や役割もあるのです。これまでの時代を振り返ってみれば、国の政策や社会変化の速度に振り回され、バランスが取れなくなってしまっている私たちの状況がよく理解できるのではないでしょうか。

新しい時代に私たちはどう生きるか、家族をどう作っていくか、子どもをどう育てるかを考えたり、学んだりする機会は確実に増えています。

現代では誰もが自由にたくさんの情報を取得し、自ら必要な知識を選び取って学ぶことがしやすい時代になっているのです。世の中の「当たり前」「常識」といったものも、以前のように強い存在ではなくなっていくでしょう。

また、科学の進歩はITや情報といった分野だけでなく「心」や「脳」といったものを身近にしてくれました。家族や夫婦、子ども、そして個々の人間が心地よく生きていくためには「心を育てる」のが重要だということも、今や当たり前の価値観となりましたね。

家族をつくること、子どもを育てることは確かに難しく、大変な道のりです。しかし「家族とはそういうものだ」という考えを捨て、意識的に構築していくことで私たちの将来はもっと明るいものになっていくのではないでしょうか。

これまでのような社会の大多数に合わせた家族・夫婦・子育てではなく

意識的になって心を育てる「家族づくり」を目指していく。それがこれからの私たちに求められていることなのではないでしょうか。