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社会に家族が振り回されてきた!時代の変化に追いつけない、人間の本能

男女の平等、男性の育児参加、夫婦別姓、ワーキングマザーの増加など現代の「家族事情」には問題が山積みのように感じている方も少なくないでしょう。

いつの時代も、社会と家族は密接に関連していると考えています。

社会や、そこで生きる人間は、そもそも「家族」をベースにして成り立っているものです。筆者は「世界は家族の集合体」であると考えています。どんな人も、家族の中で育ち、新しく生まれる命にも、例外こそあるものの基本的には家族の中から生まれたり、命の誕生とともに家族が形成されていくと考えるのが一般的です。

しかし、今の世の中を見ていると、男性と女性が張り合うようにしている様子や、男性が女性を恐れるような心理、お互いに期待せず希薄な繋がりで人間関係を何とか維持している……なんていうことも決して少なくありません。

どうしてこのように、家族や男女の心がすれ違うようになってしまったのか。そして家族がうまく立ち行かなくなってしまう原因を、この記事通じてじっくり考えてみてほしいです。

目まぐるしく、急速に変化する社会に、人間の本能が追い付けなくなっている!?

Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash

以前当サイトでは、過去50年の社会を振り返る!新しい時代の到来と「意識的な家族づくり」という記事を公開しました。これは、現代からさかのぼった過去50年ほどの社会の流れを、家族の形や人々の意識に関連付けて考察した内容となります。

過去50年間の間に、国の政策や経済の動きは信じられないような変化を繰り返してきました。戦後、焼け野原だった日本は世界屈指の先進国に成長しますが、いつしか経済成長は著しく低迷し、先進国の中でもGDPの順位が急激に崩落、日本はもはや先進国ではないのでは……という現状があります。

それに伴って、国民の価値観は揺らぎ、混乱しているようにも思えます。現在でも、社会情勢やインターネットの急速な発達、メディアの影響などが相まって「生きにくさ」を感じる人の少なくない世の中なのかもしれません。

そこには、社会という「外的要素」に、人間本来の「本能」や「生物学的な特徴」がついていけなくなってしまっている部分があるのではと、私たちは考えているのです。

社会の変化と、男女・夫婦の形

男女平等であること、男性が育児に積極的に参加すること、女性も自分の志を強く持てる職に就くこと……さまざまな「当たり前」の定義が変化しつつある昨今。

こられはどれをとっても、機能的な家族の形成において、さらに社会の発展を目指すうえでとても大事だといえるでしょう。しかし、これらはあくまでも社会的な変化からもたらされた価値観の変化にすぎません。

人間本来の「欲求」や、生物学的な「本能」といったものから生まれた自然な風潮ではない可能性も否定できないのです。

たとえば、夫婦関係において女性は「女性はもっと強くあるべきだ」「女性にもっと権威を!」などと、本心から願っているとは限りません。女性の本能的な部分には「もっと強く守られたい、頼りがいのある男性が側にいてくれたら心強いのに」という思いがあるのです。

男性よりも強くなりたい、男性と同じくらい強く生きたい……というわけではなく、本能の欲求に従って「守られたい」のが本当のところなのではないかと考えます。

守られるから、守ってあげられる。

まず子どもをすぐそばで守る役割を担っている母親が、誰かにしっかりと守られることが必要なのです。

なぜ、男性が女性を守れなくなってしまったのか?

では、どうして女性が「男性に力強く守られたい」という気持ちを忘れてしまうほどに「男性が女性を守る構図」が失われてしまったのでしょうか。

それは、社会的な背景による「母子密着」が影響しているのではないかと考えます。

過去50年の社会を振り返る記事でも触れているように、現在までの間には、社会が無理やり家族の形を変えてきてしまった背景があります。

核家族政策が進められる中男性は企業戦士として働き、妻がひとりで家庭を守るという社会構造が根強く浸透してしまいました。

女性は常に孤独を感じ、男性に心理的に守ってもらうことができなくなってしまったのです。そこで、自分の子どもに心理的な依存をするようになります。

本来夫に支えてもらうべき「苦悩」や「不安」を、子どもに頼って埋めようとしたり、子どもに執着して満たそうとしたりするという母子密着のケースがそこここで増えてしまったのです。

心理的に頼れる人間がいない場所で、母親は孤独を感じ、余裕のなさで追い詰められていくことも少なくなかったことでしょう。

関連記事:うちの夫は頼りない?マザコン?夫婦の不仲・嫁姑の不仲・親子依存のしくみ

母子密着が起こると、息子である男性は、男としての牙を抜かれているため「愛する女を必死で守る」という男としての気概のようなものが失われる……このことは、嫁姑問題や離婚の増加などにも大きく影響しています。

現代では死語となっているでしょうが、女性に対し本能的なアプローチをしない草食系男子が増加していますし、父性機能を知らない親も増えています。「父性とはなんなのだろう?」「父親の役割って?」「夫としてどう振舞えばいいの?」という、クエスチョンだらけの世の中になっている部分があるのではないでしょうか。

社会の急速な変化に対し、私たち人間の「動物」や「生き物」としてのプログラムがついていけていないのではと感じざるを得ません。

関連記事:家族において重要な「父性機能」とは?褒めるだけでは育たない子供の”心”

結婚生活の技術、関係構築の方法は「手探り」でしかなかった

日本で恋愛結婚が主流となったのは、1970年代です。古い時代は「お見合い結婚」や「家族が決めた結婚」も当たり前でした。恋愛結婚は欧米から入ってきたブームのようなものだったのです。

私たちは、恋愛結婚を上手に運用する技術がないまま、今も社会生活や家族生活を営んでいるのです。誰も見本を見せてくれない中、見様見真似、手探りで家族をやっているようなもの。

結婚自体も「適齢期だから」「周囲が結婚し始めている」からだったり、周囲が結婚を急かしたり心配して口を出すといったことが動機になったりしていることも少なくありません。

そして、結婚後子どもが生まれると、夫婦は急速に危機を迎えるようになります。それを修復する方法も、誰も教えてはくれません。夫婦なんてそんなものだ、ささいなことで泣き言をいうんじゃない、みんないろいろあるんだから我慢しようじゃないか。

そんな風に、相変わらず手探りの家族をやっているのが事実ではないでしょうか。

「ひとりで生きることが容易な時代」が晩婚化・未婚者の増加につながる

母子密着で育った男性は、牙を抜かれている。女性を妻に迎え入れて守り抜くことに、魅力を感じない男性も増えています。また、女性も社会で活躍しやすくなり、男性に引けを取らない地位や収入を得ることができるようになりました。

時代はもう、昭和の時代のようにひとりで生きることに難しさを感じなくなっています。

それに加えて、核家族化や地域の交流の減少によって、幼い時から人間関係がパターン化している人も少なくありません。他人を深く求めない回避性パーソナリティーも急増しています。苦しい経験を幾度となく乗り越えるという経験も、乏しいのです。

ものや情報も豊かになり、誰かと支え合ったり深くかかわることがなくても何とか生きられる時代になったのです。これはもちろん、人の生活においてプラスとなっている側面もあるのですが、一方で「ひとりで生きることが容易な時代」になってしまった背景でもあります。

まずは「社会に家族が振り回されてきた」ということを知る

現代にはさまざまな問題が取りざたされ、大きく報じられ、話題を呼び、ヘイトにまで発展することが多くなってきています。

その背景を細かく、ひとつの社会的な流れとして見てみると、そこにはやはり「社会に家族が振り回されてきた」という事実が、ひとつのストーリーとして浮かび上がってくると思います。

もちろん、家族にはさまざまな個性があり、ケースバイケースであることは確かでしょう。しかし、全体的に「人間の本能」や「生物学的なプログラム」が置き去りになったことで、問題がねじれたり過剰に大きく取りざたされている部分があるのではないでしょうか。

そして、私たちが育った家族とはどういうものだったのかを、今の親世代が改めて振り返る機会も非常に大事になってくるということがわかるのではないでしょうか。

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この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。

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