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仕事と子ども、どっちをとる?男社会に張り合わない女性の人生キャリア

子どもを産み育てたい気持ちはあるけど、仕事を辞めたり第一線から退くことに不安を感じてしまう……。

バリキャリなんかじゃないけれど、やっぱり仕事を続けて自分のやりたいことに全力投球する人生も悪くない。

そんな風に「子ども」と「仕事」のどっちを取るかで、悩んでしまうことがあります。

女性に生まれた以上、出産や子育てを経験しないのはもったいない。子どもを育てることには、キャリアや地位、お金以上の価値があるよ、という子育て最高論も多く飛び交っています。

その一方で、今の不安定な時代、子どもを産むことに踏み切れなくても当然という声も多いです。

この記事は、子育ては素晴らしいものだから経験しておくべきだ、なんていうことをゴリ押しするつもりは毛頭ありません。しかし、一人の人間の人生において「子育て」と「仕事」はどちらかひとつしか選べないこともありません

昭和からずっと続いている「男性仕様の社会」で成功することが、女性にとって本当に幸せな人生キャリアなのかどうかを考えるきっかけになれば幸いです。

子育てするなら、仕事もキャリアも捨てなければいけないの?

Photo by Annie Spratt on Unsplash

確かに、子どもを産み育てることには膨大な時間と労力がかかります。責任をもって育てたい、子どもをしっかりと見てあげたい……と、子育てに対して真剣になればなるほど、子どもか仕事かの二択で悩んでしまうはずです。

しかし、そこには非常に強い固定観念による縛りが生まれているようにも感じます。まずは、働く女性にとってネックになりやすい問題に対して、視点の転換をしていきましょう。

仕事のせいで子どもにさみしい思いをさせたくない?

仕事をしながら子育てをすることは十分に可能な世の中です。ワーキングマザーという言葉も広く浸透し、子どもを幼いうちから保育園に預けることも一般的なスタイルになりました。

しかし、仕事と子育てを両立させる例がたくさんある一方「果たして自分にそれができるだろうか?」という不安や「子どもにさみしい思いをさせてしまうのではないか?」という気持ちがネックになっていることが多いのではないでしょうか。

世の中のシステムや価値観としては、子育てと仕事の両立は十分に実現可能なこと。ただ、実際に働きながら子どもを育てている人たちの声を聞けば「本当に大変だよ」「毎日が戦争だ」という感想を聞くことも少なくありません。

待機児童問題や夫婦共働きの現状など、ネットメディアを見ていると、やはりその過酷さや苦悩ばかりが目に飛び込んでくる部分があります。

しかし、中には「子どもも仕事もあきらめなくてよかった」「どっちも楽しむことができるよ」という意見もあるものです。人間の本能として、危険や不安を回避するためにネガティブな情報を優先的に選んでしまう部分があるため、なかなかその道に踏み切れないでいる方も多いのではないでしょうか。

また「子どもが小さいうちはずっとそばにいてあげたい」という気持ちの強い女性も多いはずです。これも、私たち親世代が生きてきた時代や社会的な価値観によって刷り込まれている「べき思考」である可能性も否めません。

乳幼児のうちから母親と離れ、日中の多くの時間を園で過ごすなんてかわいそうだ……というその感覚はどこからきている気持ちなのかを、もう一度考えてみる必要があります

筆者の実体験としては、子どもはいくつになっても手がかかります、乳幼児・園児・小学生の育児を経験しましたが、正直どの世代であっても、子育ての大変さの感覚は同じです。

幼児期は体力的にしんどいことや、知識や経験が浅いことによって悩む時間が多くなります。一方ある程度年齢が上がると、精神的な成長を見極めたり、年相応の対応や心の葛藤などに向き合う時間がどんどん増えるのです。

つまり、子育てにおいて「しっかり見てあげなければいけない時期」という枠組みはないと考えているのです。だからといって、子どもが成人するまでずっとつきっりの専業主婦を勧めるわけでは決してありません。

どの時期だから働いてもいい、どの時期なら働けるという基準などないということです。

関連記事:母が仕事でかわいそう?現代の子どもたちは「ママと一緒に頑張れる子」

自分にとっての「キャリア」とは、何を指しているのか?

子育てか仕事かで悩むときに「キャリアを捨てられない」と考える人も非常に多いはずです。このとき、自分にとってのキャリアとはいったい何かを明確にしてみることも必要です。

  • 勤続年数
  • 会社での地位や役職
  • 業界内での知識や技術

子育てか仕事かの二択で悩むときにネックになるのは、上記のようなキャリアではないでしょうか。流れの速い現代、業種によっては少し離れるだけで業界内のトレンドや常識が変わることもあります。勤続年数や社内で培ってきた地位なども、ここでストップしてしまうように感じられるかもしれません。

しかし、本来キャリアとは、社内の地位や役職、業界での知識や技術のことだけを指すわけではありません。「継続的プロセス」を指すもので、そこに出産や育児が入ることも「あなたの人生のキャリア」になります

就職し、出世し、現在に至るというそのプロセスは一時的に手放さなければならない場合もあるでしょう。産休や育休を経ると、今までのような仕事の仕方ができなくなるのは事実かもしれない。

しかし、それは「社内」や「業界内」というごく限られた世界の中のキャリアであって、あなたの人生のキャリアではないのです。

現代では、誰しもが働きながら生きていかなければなりません。その中で「働く」ことと「生きる」ことを別軸に考えてしまう人が増えています。

本来、私たちは自分の人生を生きるために働くのです。働くために、自分の人生、つまり子どもを産み育てたいという願望をあきらめるのは、優先順位として少し不自然さがあるように感じます。

男性の育児参加など「家族機能」を回していく不安

もうひとつ、これから子育てを始める世代の多くが「男性の育児参加」や「夫婦の家事分担」「男女平等」といった、夫婦問題について不安をもっているのも事実です。

ネットやテレビでは「夫が家事育児に協力してくれない」「子どもが生まれてからケンカが絶えなくなった」「母親ばかりに負担が増えて夫を嫌いになった」など、子どもが生まれてからの夫婦関係についてネガティブな体験談や嘆きの声も多く聞かれます。

子どもを産むことによって今の夫婦関係が壊れるのではないか、夫婦共働きでうまく家族機能を回していくことができるのかだろうか……という不安も、そこにはきっとあるはずです。

それを解消するためには、世間一般のやり方や、世間が良しとするイクメン像、そして母親像や家族像などありとあらゆる外部からの情報に惑わされない意思と検討が必要です。

自分たちだけの家族を構築していくために、目の前のパートナーをしっかり見るということ。そして、自分や相手の気持ち、事情を考慮しあいまったくオリジナルの家族を作るという発想が必要です。

夫婦関係にも子育てのやり方にも、正解はありません。「こうあるべき」「こういうもの」という外的な情報から作りあげられた理想像を捨て、当事者である自分たちがどう生きていくかということに集中するとよいのではないでしょうか。

男性仕様の社会が終わっていく中、本来の女性キャリアとは?

Photo by Standsome Worklifestyle on Unsplash

仕事一筋で、大きな功績とキャリアを残していく……というのは、昭和時代の男性社会の在り方でした。令和の時代では、仕事だけにまい進するのが立派だという価値観は古くなってきていることを、多くの方が感じ始めています。

「なぜ女性は男性のようにバリバリと仕事ができないのだろう……」と思う人もまだまだ多いでしょう。しかし、一歩後ろに下がって視野を広げてみてください。

たとえ家庭をもつ男性であっても、仕事一筋でキャリア形成だけに人生を捧げる人はどんどん減ってきています。「男とは、仕事で人生を全うするのがベストである」という価値観をもっている人はこの先ますます減っていくでしょう。

仕事も楽しみながら趣味や余暇に時間を使い、副業などを始めて自分だけのスモールビジネスをもつという風潮も増えてきています。昭和時代のような古い男性仕様の社会に、現代の女性が自ら入っていく必要などまったくありません

そんな時代の大きな変化を迎える中、女性が仕事のキャリアのために子育てをあきらめてしまっても本当によいのかどうか、もう一度考えてみてもよいのではないでしょうか。

女性は男性のキャリアに張り合わず、しなやかに抵抗する

女性が子どもを産み、育てるという体験は、男性には決してマネできないことです。確かに男性も、出産以外の面では同じように育児をするのは物理的に不可能ではありません。

しかし、自分の体の中に命を宿し、その動きを感じとり、産み、乳を与えるという一連の生物学的な体験は、男性にはどう頑張ってもできないことです。社会的な立ち位置は、もうすでに男女の差がどんどん縮まっています。共働きやワークングマザーが生きやすくなるための施策はこれからも進んでいくでしょう。

女性は、子どもを産んでもなお、社会に出ていくことができます。

今までとは違った働き方になるかもしれないし、まったく違った業界に進出することもできます。現代は働き方が実に多様化しているため、今までの企業や仕事先で培ってきた知識や経験が、まったく違う業界で役に立ったり、求められたりする機会も急増しています。

そもそも、育児のために一時的に家庭にいるということを「社会」から切り離して考えてしまう私たちの固定観念そのものが、とても理不尽であるともいえます。

子どもを産んで育てることに専念するのは、立派な社会活動であり、尊い仕事であると感じるのです。命をはぐくむという重大任務を担っているのに、そこに社会的地位がないという今の社会的価値観のほうが偏りすぎているのではないでしょうか。

発想を転換し既成概念を取り払うこと、そして今まで知らなかった新しい世界を発見したりすることで、むしろ今までは考えられなかったような新しいキャリア形成ができる可能性もあるでしょう。

その中で、女性が男性のキャリアに張り合うことがどれほどの意味を持つでしょうか。社会の価値観や風潮など、ほんの一瞬で変わってしまうものです。そんな社会的な立ち位置や価値観に振り回されないでください。

自分の人生に対し「精神的豊かさ」を重視して、選択してみることが大切なのです。

もちろん、そこで出る結論が仕事や自分自身のために生きる人生であっても、それもまた素晴らしい人生です。仕事に生きる、子どもを望まないという決断も大きな覚悟がいることです。

仕事をとることと子育てをすることのどちらが優れているか、というジャッジは誰にもできませんし、まったくもって無意味な比較です。

ただし、仕事と子育てのどちらをとるかという瀬戸際に立っているときは、子育ても経験したい、自分の子どもに出会いたいという気持ちがきっとあるはずなのです。その気持ちは大切にしてほしいと、自身の子育て経験から強く感じています。

「本当のキャリアって何なのだろう?」「男性仕様の社会でこのまま生きていく必要が、本当にあるか?」ということは、一度振り返ってみてもよいのではないかと私は考えています。

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この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。

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