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5歳のきみとずっとさかさまの靴下。


フィリップJausions
Unsplash

私の息子は、保育園にお迎えに行くと必ず靴下をさかさまにはいている。

”かかと”のところが真上に着ていて、ご丁寧に全体もひっくり返っている。「靴下はこうはくんだよ。こっちが上で、こっちが下だよ。」何度も繰り返す朝、毎日息子は「ふんふん」と真剣に私の言う姿を見ている。それでも、毎日お気に入りの車の柄のはいった靴下はさかさまになって、「今日も頑張ったよ!」と言いたそうな笑顔で、私をニコニコと見つめているのだ。

靴下の上下や靴の左右なんて、教えて早4年になる。5歳になった今でもできないけれど、思えば最初は靴下をはくことすらも嫌がっていたし、自らはこうとなんて一切しなかった。どんなに大好きな電車の模様を選んで買ってきても、ごほうびに大好きなおやつをスタンバイして教えても、一緒にはいてできたら大げさなほど盛大に褒め続けても、それでも嫌がっていたのだ。

そんな息子がたとえさかさまだとしても、一生懸命自分でくつしたをはき、帰りの支度をして、お迎えを待つ部屋でじっと正座をして私を待っている。ずいぶん成長したな、愛おしいな、とふいに考えていた。

そもそも、靴下を上下正しくはくことに、大きな意味はあるのだろうか。右と左が違ったところで、靴下なんてわからない。靴をはくのに痛くないように、夏に蒸れないように、冬に寒くないように、はければいいのではなかろうか。

私はこうして、どんなささいな「当たり前」も「常識」も「普通」も、息子にくつがえされ続けている。靴下の上下なんてあまりにも小さなことにこだわって、できていないからといってその部分に注目するのはなんとも心が寂しいと思う。

”自分でがんばったよ”

その心意気を、大いに褒めてあげたいって思う。自分がこんな風に思えるようになったのも、息子のおかげである。世の中には、本当はできなくても大して困らない事、怒るほどでもない事、人と比べるほどの事でもないことがたくさんある。息子がいつか上下も裏表も完璧にできた状態で靴下をはいて見せてくれたら、私は泣くかもしれない。

きっと「なんだこれ。とりあえず靴を履く前にこれをはくんだな。そうか、しかたない、やってみるかなー」って、のんびり思っているのかなって思うと、そのマイペースさが羨ましくもあるよ。

この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。

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