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寝かしつけや不安に有効!子どもを安心に導く「秒速5センチなでなで」

子どもが不安を感じているときは、親が何かしらの働きかけをして安心を与えてあげたいもの。

でも、何をしてあげていいかわからない、どうしてあげたら安心できるかわからない……ということも少なくないはずです。

もちろん、言葉で「大丈夫」と伝えることもとても大切です。眠るときにたくさん温かい言葉をかけることもいいですね。

それと同時に「皮膚へ直接触れること」の重要性も知っておきましょう。

スキンシップが大切なのは、多くの人が知っていること。

でも、どうしてスキンシップする必要があるのかや、スキンシップにどのような物理的効果があるのかわからないままでは、実践につながりにくいのです。

理屈がわかって「なるほど!」と理解できたとき、はじめて実用化しやすくなるといえます。ここでは、子どもに信頼や安心をもたらす「秒速5センチなでなで」の効果について解説します。

秒速5センチなでなでとは?

Photo by Eleanor on Unsplash

秒速5センチの速度で、皮膚をなでる行為。これには科学的な「信頼」と「安心」の効果があることがわかっています。

1秒間に約5センチほど手をすべらせ、戻ってくるの繰り返しであるストロークをします。皮膚をなでるときの速度を、秒速5センチで意識してみてください。

速度にこだわりすぎると難しいので「だいたいこのくらい」を意識することから始めてみてもよいでしょう。

イギリスで行われた実験結果によると、人間は秒速5センチの速度でなでられたときに最も心地よいと感じることがわかっています。この速度で触れた場合にもっとも反応するのは「C触覚繊維」とよばれる神経線維。

このC触覚線維を正しい方法で刺激してあげることで、人をリラックスさせたり安心感に包んであげたりすることができます。

C触覚線維は、毛の生えている皮膚であればどこでも有効です。頭をなでなでするのでもいいし、スキンケアやマッサージを兼ねて皮膚をくるくるなでるのでも同様の効果があると考えられます。

秒速5センチなでなでは、自律神経や呼吸、血圧の安定、感情の司りなどの幅広いポイントに働きかけることができるのです。

秒速5センチなでなでと「オキシトシン」

秒速5センチの速さで子どもを撫でてあげると、愛情ホルモンとよばれている「オキシトシン」の分泌も促すことができます。オキシトシンは、神経伝達物質といい脳内で分泌されるホルモンです。

単純に抱きしめたり、手を握ったりするようなスキンシップでもオキシトシンは分泌されますが

これに秒速5センチのスピードで撫でるというスキンシップ方法を加えれば、さらに愛情や安心を伝える手段やレパートリーも増えるというわけです。

どんなときに有効?子どもを安心させる秒速5センチなでなでの活用シーン

Photo by Jordan Whitt on Unsplash

秒速5センチなでなでは、日常のありとあらゆるシーンで使えるワザです。子どもに安心感を与えたいときや、信頼関係を強く結びたいときなど、どんなときでも使えます。

すぐに思い出して行動に落とし込めるよう、頭の隅にこのワザを入れておいてください。

①寝かしつけの儀式にする

寝かしつけのときには、親子の間だけで行われる「儀式」のようなものがあるといいです。絵本を読むのが習慣になっていたり、子どもの体を「とんとん」したりする人もいるかもしれませんね。

寝る前の秒速5センチなでなでは非常に効果的です。実は、子どもは眠る前に強い不安を感じていることが多いためです。

よく、なかなか寝付かない子どもに対して「明日寝坊して、保育園に遅れちゃうよ」「早く寝ないとお化けが出てくるよ」という言葉かけをしてしまうことがあります。

筆者も昔はときどき、こんなことを言って眠りにつかせようとしたことがありました。

しかし、眠る前は不安感が強くなりやすいため、心配ごとの話や脅し文句はなるべく避けてあげたいです。

その代わりに、背中や足、腕、頭などのどこでもいいので、秒速5センチのスピードを意識してなでなですることを儀式化するのもおすすめです。

入眠儀式ができることによって、子どもの気持ちが切り替わりやすくなり、眠りにつきやすくなることもあります。

②子どもが不安を感じているとき

  • 緊張しているとき
  • 何かに挑戦する前
  • 悲しくて泣いているとき
  • いつもより忙しいスケジュールの日
  • 園や学校で嫌なことがあったとき

子どもが不安を感じているときにも、この秒速5センチなでなでの効果が期待できます。

よく、泣いている人の肩をゆっくりさすってあげている光景を目にすることがありますよね。あのときのストロークの速さは、確かに秒速5センチのリズムです。

不安を感じている人や悲しみや苦しみの感情を抱く人に対して、このリズムでさすったり撫でたりするのがよいことを、人間は本能的にわかっているのかもしれません。

何かに挑戦するときや、不快感情を体験しているときなど、子どもが不安と格闘しているときには、ゆっくりと撫でて安心させてあげるとよいです。

子どもの不安な気持ちは、親が取り払ってなくしてあげることはできません。

子ども自身が、自分のストレスや不安を上手に扱い、自分の心を調整できるようにしてあげることが必要です。子どもの自己調整能力を育てるように手助けしてあげるのが、大人の役目になります。

自己調整機能は体の感覚からも養われるため、小さな年齢の子どもは特に直接体に触れ、優しく撫でてあげてください。

③「叱りすぎた」と反省したとき

多くの親が、子どもを叱りすぎてしまったり、感情的になってしまったりすることを後悔します。そんなときには必ず最後にフォローを入れるのが大事です。

叱ったり感情を出したりすることがいけないのではなく「叱ったまま放置しない」ことが非常に大事であることも知っておいてください。

子どもを叱りすぎてしまったとき、最後に必ずスキンシップをとって「安心感」で締めくくるように意識づければよいのです。もちろん不用意に怒鳴ったり叩いたりすることは改善すべきですが、叱ったあとの対処やフォローの仕方を知っておくことも大事。

親が子どもの身体に触れることには、愛情や信頼を伝えるための役割を担っています。

皮膚は第3の脳、あるいは露出した脳ともいわれており、皮膚に適切な触れ方をすることで、安心感や快感情、愛着、信頼などの多くのメッセージを届けることができるのです。

叱ったあとの秒速5センチなでなでは、「お母さん(お父さん)はさっき怒っていたけれど、ちゃんと僕のことを愛しているんだ」ということを、脳へダイレクトに伝えてあげられます。

心地のいいスキンシップは、子どもを安心に導き自己調整力をつける

Photo by Khoa Pham on Unsplash

スキンシップがどうしてそんなに重要なのか?ということを、論理的に理解している親御さんはまだまだ少ないと感じています。

前途したように、皮膚は第3の脳であり、露出した脳です。

「なぜ撫でることが重要なのか」「なぜ肌に触れる必要があるのか」という原理を理解することで、日常生活の行動に移しやすくなるはずです。

また、子どもの体調がよくないときや不安を強く感じているとき、寝かしつけの儀式など「ここぞ」というときには秒速5センチを意識し、C触覚線維の力を活用してみてください。

この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。