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【自閉症】意思疎通がむずかしい、パニックになりやすい…上手なコミュニケーションの取り方

耳からの情報をうまく整理できない自閉症の子供

受け答えが苦手、発語がゆっくり

自閉症スペクトラムの子供は、意思の疎通や受け答えなどのコミュニケーションが苦手です。個性は様々ですが、言葉もゆっくりで、しっかりと目を合わせて話を聞いてもらうということもスムーズではありません。だから、接し方としてもなんだか「一方通行かなあ」と思う事が多いんですね。

何かこちらが声掛けをしたり、問いかけたりしても「うん」とも「違う」ともなかなかはっきりと言わないため、ひたすら私が優しくコミュニケーションを取り続けています。はじめて息子がはっきりと「ママ」と私を呼んでくれたのは、4歳半の頃でした。ずいぶんとゆっくりでしたが、忘れられない出来事です。今までずっと「ママ」が言えずに「アパ」とか「アマ」とか言っていたはずの息子が、ある朝いきなり「ママ!」「ママ!」と私を起こしに来たのです。

まだ意識もおぼろげな私は、お兄ちゃんが呼んでいるのだと思いました。でも、目の前にずいっと顔を向けていたのは、自閉症の方の弟だったのです。思わず低血圧なくせにガバッと起きて、「へ?え?おおお、おはよう!ママです!はい!」とかなんとか言ったように思います。

「もしかしたら、ずーっと喃語なのではないか」と思っていたので、飛び起きるくらい嬉しかったです。たった二文字の「ママ」という言葉でこんなにも私を幸せにしてくれる息子は、やはり凄いなと感じます。こんな当たり前のことすら、感動させてくれるのですね。

自閉症の子供とのコミュニケーション!コツを掴もう

まずは目線を向けさせること

今息子は5歳ですが、言葉や意思疎通も含めて少しずつではありますが成長しています。4歳を過ぎてからぐっと成長してきたので、どんなに不安になっても諦めずにどっしりと構えて気長に待つことが大事です。「ママ」がはっきりと出るようになり、少しずつ言葉が伸び始めました。「あか」「あお」「きいろ」などの色の名前や、1、2、3などの数字、「うん」「嫌」などの意思表示がちょっとずつ出てきました。

自閉症の子供に、「なんとなく声掛け」をしてもほとんど聞いていない、と思った方がいいかもしれません。聞いていないというか、脳の中で「これはママの声だ」という識別が雑多な音の中だと難しいのですね。そのため、うしろから名前を呼んだり、横あたりから呼んだりしても、全くの無視…ということがよくあります。

子供に話すときは、なるべく静かな場所で、真正面まで近づいてから「ママの方を見てね」「ここを見て」と私の目を指さして意識を向けさせることから始めます。そうすると目が合い、子供も聞き取りやすくなります。根気強く続けていく、これを毎日の習慣にしていかなければなりませんが、確実に聞いてくれるようになります。

理屈で長く語るのではなく、端的にわかりやすい言葉で

通常ならば子供に何か言い聞かせる際には、なぜそうなのか?という道筋を立てたり、理由を説明した上で話すでしょう。しかし、自閉症の子供には「普通では当たり前」な言い聞かせは通用しにくいのです。「なぜダメなのか」を語りルールを理解させるより、別の言葉で短くはっきりと伝えましょう。

  • 危ないから、ここは走っちゃだめでしょ!⇒この道では、手をつなぎますよ~。
  • 大人しくしなさい!みんなお話聞いているよ⇒お喋りしません。(静かにできたら、すかさず褒める)
  • おやつばかり食べたら、ごはん食べれなくなるよ!⇒おやつは〇個です。(数を伝える)

やめてほしい行動やまずいことは止めなくてはなりませんが、ただ「ダメ!」と否定してもあまり意味はなく、混乱を招きやすくなります。ですので、否定するのではなく、「よくない行動を正しい行動にパターン化していく」という方がスムーズです。ルールの理解などはもっとずっと先。それよりも「良い行動パターン」をしっかりと子供に浸透させることを優先しましょう。

落ち着いてほしい時は、身体を思い切り動かす

自閉症の子供は、なんだかいつも”ソワソワ”しています。感覚統合が未熟で、なにもせずにいると感覚的にふわふわとしているからです。「自分の身体へのイメージ」が薄く、自分がどこにいるのか掴んでいない場合もあります。それが理由で、じっとできなかったり、落ち着いて椅子に座っていられないのです。

特にソワソワ、バタバタしている場合は、すぐに落ち着かせようとする前に身体の感覚をしっかりと満たしてあげてください。気が済むまで走らせる、ジャングルジムによじ登る、抱っこをして大きく揺らしてあげる、それが難しい場合には、トランポリンで跳ねさせてあげるのもいいと思います。

そうすることで身体のムズムズ感がとれ、落ち着いて座ったり静かな作業をすることができます。だからといって「動いたから1時間はじっとできるよね」というほどうまくはいきませんが、運動後に落ち着くのは間違いありません。これは私も実践し続けており、効果は実感できています。

常に先の「見通し」を立ててあげることでパニックを防ぐ

「何をすればいいかわからない」が一番不安

私の息子もそうなのですが、自閉症の子供は「気持ちの切り替え」「今していることをやめる」「場所を移動する」ことに対して不安を持ちやすく、泣き出したり混乱したように床に転がって怒ったり、頑として譲らない一面があります。いわゆる「かんしゃく」にも似ていますが、ここが難点ですよね。同じ道しか通れない、という子も多いでしょう。

しかし、徹底的に「次にやること」「どこにいくのか」などの見通しを立ててあげることでパニックを事前に防ぐことは可能です。そろそろ片づけをしてほしい、やめてほしい、と思う時、通常よりも早い段階で繰り返し「これをやめて○○しようね」と声かけを続けます。

重要なのは、「やめられたら、何があるのか」を知らせることです。「○○を辞めたら、ごはんだよ」「○○が終わったら、迎えのバスがくるからね」など一歩先を教えてあげることで、子供は安心して切り替えていけるのです。私の息子も3歳頃まではパニックがひどく、もう永遠に家にいるしかないのではないか…と途方に暮れたこともありました。そんな息子でも、見通しを立てることを徹底し出してからは、切り替えがうまくなりました。そうなるとたくさん褒めてもらえるので、子供側もいい循環に入っていくようになりますよ。

疲れてしまうこともあるけど、諦めないで!必ず乗り越えられる

私は、息子がどんなにパターンに慣れて泣かなくなっても、必ず「もうわかっただろう」という考えはしないと決めています。毎日、起きればまた何度でも今日やることやいつもの道を教えています。必ず子供が安心していることを確認し、見通しを立て、うまくできたらたくさん褒める、この3パターンを自分に刻み込み、ずいぶん慣れてきました。

予期せぬパニックや「大丈夫だと思ったのになんで?昨日までうまくいってたじゃん」と思うこともしばしばあると思います。だからこそ、毎日がリセット。そう思うことを徹底しています。なぜスムーズにいかないかを理解してみると、絡まった糸がほどけていくように、子供の行動の理由や原因をわかって接することができるもの。疲れ果ててしまうこともあっていいし、時には「もう無理かも!」と弱音を吐いたっていいと思うんです。

通常よりは一歩ずつ、ゆっくりゆっくりかもしれませんが、かならず乗り越えていけます!

この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。

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