information

男の子にはよくある話。でも、本人は困ってるかも?「聴覚情報」の記憶と理解

筆者には小学5年生の息子がいます。息子は昔から、手のかかるやんちゃな男の子でした。

2~3歳のころは、気になるものには猪突猛進するタイプ。ご飯のときに静かに座っていることはほとんどなかったし、入園は子育て支援センターの手遊びや体操、お楽しみ工作のような「集団行動」はとても苦手でした。

自我が強いタイプだったので、お友達とのやり取りでもトラブルになることが多く、母親である筆者はいつも追いかけたり謝ったりしてばかりでした。

子育てとは、たとえどんなタイプの子であっても大変で当たり前。おとなしい子にはおとなしい子の苦悩があるし、やんちゃな子や落ち着きのない子にはその子なりの苦悩がある……と思っていました。

しかし、やっぱり「しんどい」と感じることは多かったように思います。「この子が、このような行動をとるのがなぜなのか?」がわからなかったので、よけいに悩んでしまったように思います。

男の子なんてそんなものよ。

元気がないより、多少やんちゃなほうが安心でしょう?

男の子なんてだらしなくて当たり前だし、話を右から左に聞き流すのなんて普通のことよ。

周囲の人は、口をそろえてそう言いました。考えている私の気持ちを少しでも軽くしようと思って言ってくれていたのはわかります。

でも「どうしたらいいんだろう?」という親の疑問は解消されないままでした。

聴覚情報の記憶や理解に苦手があることがわかってから、子育てが一変した

息子のことは、ずっと「手のかかる子」と思って育てていました。それがこの子なんだということもわかっていたのですが、その理由がよくわからなかったので「どうしたらよいか?」という肝心なところがわからないまま、息子は小学校4年生になっていました。

息子が小学校生活にようやく慣れたかな?と感じたのは、2年生の終わりごろ。

3年生のころは生活や精神が安定していたので、やっと少し楽になってきやなという感覚がありました。

しかし4年生になると、今度は原因不明の体調不良が立て続けに起こるようになり、4年生の冬ごろには学校に行ける日がどんどん少なくなっていきました。いわゆる不登校予備軍というような状況です。

いろいろなことが重なった時期でもありましたが、ここで「聴覚情報を一定の時間記憶しておくワーキングメモリー」の力が少し弱いということがわかりました。

息子の場合は発達障害の診断を受けているわけではありません。発達特性の凹凸差が激しいので、バランスを保ちにくいということがわかったのです。

なるほど、そうだったのか。母親としてはそれがわかってから、息子が今何に困っているのか少しずつ理解できるようになりました。

それと同時に、聴覚情報の記憶や理解が苦手な子が、周囲から受けてしまう「誤解」にもっと目を向けてあげたいと思うようになったのです。

聴力ではない「きく力」

「話を聞いていない」「ごまかそうとしている」と誤解していた

息子は、小さなころから親の話を聞いていないなと感じることが多かったです。声をかけてもまるで届いていないと感じることは日常茶飯事で、筆者だけでなく多くの親御さんが感じていることだと思います。

幼いころは、お友達とのやり取りや順番に関することを教えるときに「人のいないところに行って、一対一で話す」ことを実践していました。情報刺激の少ない環境を作って、聴覚情報に集中しやすくするためですね。

しかし息子はそれでも「おかあさん!ひこうきひこうき!」と、真剣に話す私の言葉をさえぎって他のことに目が行ってしまうことがよくありました。

正直なところ、このような息子の行動を見て私は「怒られるのが嫌なんだろう」とか「都合が悪いから私の気を逸らそうとしているのでは」と思ってしまったのです。

今になって「あれは、単純に耳で聞く情報よりも、目で見る情報のほうが入ってきやすいから意識がそちらにもっていかれていただけなんだ」とわかります。しかし、ああ、私は息子のことをとんだ誤解の目で見ていたのだなと反省するばかりです。

自分のメカニズムを知ったら自発的な行動が見られた

小学校に上がってからは、やはり学習の遅れがないかどうかが気になるようになってきます。

「算数は一度つまずくと取り返すのに時間がかかるから、わからないところがあったらすぐに聞いてね」と、何度も言っていました。

息子の場合、登校できない日や授業に集中できない日もあるので、学習の遅れは特に気になっていたところ。

学校の先生からは「社会の授業中に理科のプリントをしていたり、みんなと同じ行動をとれないことが多い」と言われていました。本人も「算数のときは絵を書きたくなって、学活のときは本を読む」などと話していました。

ただ、息子は性格的に曲がったことが大嫌いなので「やりたくないからサボる」という理由だけではないと直感的に思いました。

思春期に差し掛かっているので、多少サボったり嫌なことを避けたりする反発心はあると思いますが、やはり聴覚情報の記憶や理解が苦手というのは大きなポイントになっていたようです。

そこで私は、夕食中に

「たぶん、耳から入ってくる先生の話や説明が頭に入ってこないから、他のことに意識が向くんだよね。外でやっている体育の授業の声に耳がいくとか、手いたずらをしはじめたら止まらなくなってしまう、それに絵を描き始めたり本を読み始めたりするのもそうだと思う。

注意が他に向いてしまうのは、学校の授業はどうしても耳からの情報が多いのと、他の刺激も多いというダブルパンチなんだよね。」

そんな感じで、考えたことを話してみたのです。

すると息子は

「そうだ!」と一言。

食事もまだ終わっていないのに、算数の教科書を持ってきて「今それでわからないところがある。教えて!」と言って、自分から勉強を始めようと言い出しました。

今までさんざん「勉強わからないところない?」「遅れたら困るから言ってね」と言い続けてきたのに、本人にはその気がなく、自発的な行動につなげることができませんでした。

しかし、本人が「そういう理屈でできなかったんだ」と理解したとたん「やりたい」という意欲が沸いたのですね。この時の本人の表情は忘れられないです。

「わかってもらえた」という感覚や「誤解が解けた」という感覚はやはりうれしいもので、とても大きなエネルギーがわくのだなと感じました。

「聴く力」をつけてあげたい、意識してあげたい

「男の子はみんなそうだよ」

「子どもなんてみんなそうじゃない?」

筆者の周囲の大人は、多くの人がそう言います。しかし、今まではこのような知識を持っている人が少なかったし、情報も得にくかったので「みんなそうでしょ」だったのです。

今は、たくさんの情報があり、それを子育てや人間関係など生活に活かすことができます。

これまで「困った子」とされていた子も、実は「困っている子」だった。息子もきっと、話を聞いていない、すぐに忘れるおバカな男子と思われることに、どこか不甲斐なさを感じていたかもしれません。

母親自身がそう感じている側面があったのですから、きっと学校でもたくさんの誤解を受けてきたと思います。

確かにみんなそうかもしれないけれど、困っているのが当たり前ではありませんよね。じゃあ、どう工夫してあげたらよいか?ということは、多くの親御さんが知っておいて損はないと感じています。

親が特別な何かをしてあげられるというわけではないですが「なるほど、この子はそういうメカニズムで困っているんだな」と理解してあげることが子どもに大きなエネルギーを与えることがよくわかりました。

聴く力を補強してあげる方法については、こちらのnoteで詳しく解説していますので参考にしてください。

聴力ではない「きく力」