【子どものしつけ】怒鳴るより、叱りつけるより大事なのは「動じない姿勢」
子どもの「しつけ」は、子育てにおける悩みの種になりやすいものです。
子どもの個性や多様性を認める風潮、叱らずに誉めて育てるのが正しいとされる動きが家族している中「そもそもしつけって何なの?」という初歩的な疑問を抱えている人もいます。
当然、子どもに社会や物事について教えてあげるのは親の役目です。なんでも黙認したり、子どもに任せっきりにしたりすれば、子どもが必要なことを学べない「過放任」という状態になるでしょう。
では、なるべく叱らず怒鳴らず子育てをする中「しつけ」はどのようにして進めていけばいいのでしょうか。
この記事では、子どもの自制心を育てるために必要な、親の動じない姿勢についてお伝えします。
子どものしつけは、親が「静かな壁」になることが重要

子どもが自分の意志を通すために「好ましくない行動」をとったとき、親は毅然とした態度で接する必要があります。
これは、多くの親御さんが理解しているのではないでしょうか。
ただ、毅然とした態度は怒鳴ることや、厳しく叱りつけることではありません。当然、叩いたり大きな音で脅かしたりすることでもありません。
親が「静かな壁」となって、動じない姿勢を見せることなのです。何を言われても、騒がず言い分を変えないこと。
子どもが泣こうが喚こうが「ダメなものはダメ」と、静かな壁になることが必要です。
子どもは自分のわがままが通らなければ、泣いたり怒ったり、感情を大きく揺らしながらそれを表現しますよね。
このときに、親がその感情に飲み込まれてしまうと、怒鳴ったり叩いたり、厳しい言葉で叱りつけてしまいます。
親はとにかく、子どもが親をコントロールすることはできないのだということをわからせる必要があるのです。
「自分が何を言っても、何をやっても、思い通りにはならないこともあるのだ」と知る経験を積ませてあげます。
そのためには、子どもの感情が収まるまでそっとしておくだけでいいのです。
時には、しつけとして怒鳴ることも必要じゃないの?

もちろん、親も人間ですから時には子どものわがままや駄々こねに耐え切れず、怒鳴ってしまうこともあるでしょう。一切感情的になってはいけない、と自分を抑圧することで更なるストレスがかかることもあります。
しかし「怒鳴る・叩くことがあえて必要である」というわけではないのです。
怒鳴る・叩くなどは子どもに恐怖刺激を与える
怒鳴ったり叩いたりすることは、近年法律で取り締まられるようにもなり「やってはいけないこと」であるという認識が強くなってきていますよね。
確かに、子どもがどうしてもいうことを聞かないときや、本当に大事だと思えるしつけの局面では、厳しく怒鳴ることも必要……と考える方は多いでしょう。
しかし、怒鳴る・叩く・ものを投げる・脅すなどのしつけは「恐怖刺激」となります。恐怖刺激は子どもにとって非常に強く、印象的な刺激です。
その一瞬は、ピタッと静かになったり「わかった、もうしません」と納得したように見えることもあります。
ただこれは、これ以上恐怖を感じないために自己防衛しているだけにすぎず、本当の意味で物事の分別を理解したことにはなりません。
恐怖刺激が多すぎると、やる気や意欲も削がれる
怒鳴ったり叩いたりする恐怖刺激によるしつけの頻度が多くなればなるほど、子どものやる気や意欲は削がれていきます。
- また叱られるのではないか
- 何をするにも警戒心が勝ってしまう
- チャレンジする勇気が持てない
- 怒られないための行動パターンになる
あまりにも恐怖刺激の影響が強いと、子どもが自由に何かに挑戦したり、人の輪の中に入っていったりすることも難しくなるおそれがあります。
親から虐待を受けた子どもには、学習意欲の低下やうつ症状、無気力や非行などが見られることも多いのです。
決して親御さんの不安を煽るつもりはありません。しかし、しつけと称して子どもに過剰な恐怖刺激を与えるのは、やはり避けるべきなのです。
そこで、親が子どもの「静かな壁」となってあげるためには、大人自身の自制心を養い、カッとなったり揺れ動いたりしないよう訓練していくことも必要になってきます。
動じない姿勢には「親の自制心」が重要

大人の自制心は、何事においても重要です。
- 子どものわがままや駄々こねをスルーできる力
- 子どものあの手この手の言い訳にも揺れない強い意志
筆者の体感としては、子どものわがままに動じてしまうときはこのような点がポイントになってくると感じます。
子どもが泣いたりわめいたり、怒ったりすれば当然親もイライラします。これは人間の感情の原理として当然の自然現象なので、イライラすることを責めてもまったく意味がありません。
イライラしたり腹が立ってくるこの感情を、どうにかやり過ごす術を身につければいいのです。近年では怒りの感情コントロールとして「アンガーマネジメント」のようなトレーニング方法も注目されていますし、その場を一時的に離れて対処する方法なども推奨されています。
また、親自身が「これは絶対にダメ」「ここだけは厳しく指導したい」というポイントをしっかり持っていることも大事です。今日はダメだけど、ときどきはいい……という例外を作ってしまうことで、壁になる時の意志は揺らぎやすくなります。
完璧なしつけを目指さないことも重要。動じない姿勢は、徐々に訓練していく

完璧なしつけ、完璧な接し方をしなければならないと、肩ひじを張る必要はありません。
もちろん、得意不得意はあるものです。感受性の高い親子であれば、感情が共鳴しすぎて親子ともに苦しくなることもあるはずです。子どもが泣けば、親も悲しくなり、子どもが怒れば親も怒る……というように、共鳴し合っているのが人間でもあります。
最初から簡単にできる人などいませんし、完璧であることに価値があるわけでもありません。
まず、子どもには「絶対に越えられない壁」が必要だということや、世の中には自分の思いだけでコントロールできないことがたくさんあるということを、教えてあげる必要があるのです。
そのために必要なのが、親の動じない姿勢や、絶対的な壁となってあげる機会。
これは子どもにとって酷な接し方のように見えることもありますが、本当は非常に大事なことなのです。親自身が「甘やかすこと」と「甘えさせる」ことを分けて考え、日々自制心をトレーニングしていくことも重要ではないでしょうか。