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褒めるだけじゃ子育てできない!先を見据えた「がまんのチカラ」

子どもは褒めて育てるべき。子どもは褒められてこそ伸びるものだ。

そんな言葉に違和感をもっていませんか?

「褒めるだけで育てるなんてできない」

「厳しく叱るべき場面だってあるんじゃない?」

そんな風に感じている方も少なくないはずです。

適切な行動や、社会性を身に着けてもらうには子どもに善悪を教える必要があります。その場面や年齢にあった「忍耐力」を身に着けさせることだって必要だし「しつけ」をまったくしなくていいわけではありません。

また、「褒める」という姿勢だけで幼い子どもに物事の分別を教えることなんか無理だと感じる人も少なくないはずです。

結論からいえば、褒めるだけで子育てなどできるわけがありません。実際に子育て中の方で、子どもを一度も叱ったことがない人や、感情的になったことがない、という人はまずいないのではないでしょうか。

褒めるだけの子育てに潜むデメリットとは?

「小さなことでも褒めるところを探す」

「褒められると自己肯定感が育っていく」などとも言われ、これも確かに間違いでも悪いことでもありません。

しかし、親が子どもに接するトータル的なバランスを見たときに、褒めることに偏りすぎていると思わぬ弊害が出てくる可能性があります。

1.子どもの目的が常に「褒められること」になってしまう

親が、子どもをやみくもに褒めるだけ、褒めていれば大丈夫という安直な考え方になってしまうと、子どもは「褒められること」を目的に行動するようになる場合があります。

本来子どもは、自分の中で生まれた感情や意思と社会と間で調和をとっていくこととや、うまく擦り合わせていくことを学ぶ必要があります。

しかし子どもが褒められること自体に快感を覚えたり、褒められる=愛されることだと認識するようになれば、どうなるでしょうか?

自分自身の頭で考えたり、心で感じたり、葛藤したりすることよりも、大人に褒められることが自分の中で最大の「目的」となってしまう可能性も大いにあります。

2.子どもが親や先生の基準に合わせるようになる

褒められることが目的化してしまうと、子どもは親や先生にどう思われるかという「他人軸」の評価に合わせて生きるようになります。

ときには、ズルをしてでも勝とうとしたり、褒められるために我慢をしすぎるようになったり、自分の感情を抑え込んでしまうようになるなどの歪みが生じてくることがあるのです。

常に「自分はどう思うか」「相手や社会はどう感じるか」を中立的に見る力を養っていく必要があります。

  • 率直
  • 対等
  • 誠実
  • 自己責任

これらの要素は、決して褒めるだけでは育てて挙げることのできないものです。褒めることは、効果的なポイントに対し「ここぞ!」と使っていかなけれな、逆効果になってしまうこともあるのです。

3.「賢さ」「頭がいい」など、素質や能力への褒めには注意

当然、善い行いをしたときや、頑張って目標を成し遂げたときなどに、しっかりたっぷりほめて挙げることはとても重要です。

しかし、大人は時々褒めポイントを間違えることがあります。

「○○君はこんなことができるの、賢いね」
「○○ちゃんはやっぱり頭がいいね」

このように、子どもの素質や能力に対して賢い、頭がいいなどの「評価」をしてしまうことも、デメリットとなり得る可能性があるので注意が必要。

自分の能力や成績に対してばかり褒められていると、自分の能力では達成できないことへの不安が強まりやすくなります。

そのため、新しいことへのチャレンジをおそれたり、失敗を怖がったりするようになる可能性も否定できません。

子どもが理不尽を乗り越えたときに「褒める」のが重要

Photo by Colin Maynard on Unsplash

子どもをしっかり褒めてやることも当然必要だけれど、褒めるポイントや頻度を間違えてしまうと、良かれと思ってしたことが逆効果を生み出すかもしれないのです。

するとここで「じゃあ褒めるポイントっていったいどこなの?」という疑問がわいてきます。

大切なのは、子どもが「理不尽」を乗り越えたときや、先を見据えてがまんできたときにしっかりとほめてあげることです

褒めるポイント①適切ながまんができたとき

ここでいう適切ながまんとは「先を見据えたがまん」のことをいいます。

何でもかんでもがまんさせ、自分を押し殺すのは当然よくありません。しかし、未来の自分自身のために今がまんしておくという経験は積ませてあげる必要があります。

有名なマシュマロ実験のお話を紹介しましょう。

スタンフォード大学のミシェル・ワルタ氏が行った「マシュマロ・テスト」というものがあります。子どもたちに、目の前にあるマシュマロを食べずに15分の間がまんができたら、あとでもっと数の多いマシュマロをあげる、という約束をする実験です。

この実験を行ったとき、がまんできた子とがまんできなかった子の割合は半々でした。しかし、マシュマロを食べずにがまんした子たちは、その後の学力テストの数値も高くなるという結果が出ています。

さらに、実験から21年経ってから行った脳の検査では、がまんできた子たちの計画性や社会行動の調節をつかさどる機能が活発であったという結果も現れたのです。

目先の快感や満足にとらわれず、先の利益を見据えてがまんすること。それができたときに大いに褒めることが重要になります。子どもの頃の忍耐力は、その後の学力や社会生活の向上にまで影響を与えることがわかっているのです。

このためには、がまんを教える大人自身が正しいがまんの目的や理由をわかっていなければなりません。なぜ今がまんすることが必要か、根拠をもって考えることが求められます。

褒めるポイント②不快感情を乗り越えたとき

「がまんする」ということは、何でもかんでも抑制させることではありません。子どもにとって、忍耐力や計画性をつけさせること以上に大事なのは「感情を揺らす」ということです。

ポジティブな感情も、ネガティブな感情もしっかり揺らして「体験」「経験」させてあげるのが大切です。

たとえば、先を見据えたがまんをさせたとき、子どもは当然泣いたり怒ったりというネガティブな感情(不快感情)を表現します。

このとき、しっかりその不快感情を揺らして表現させてあげるのです。ただし、これを乗り越えて気持ちを切り替えたとき、不快な感情をもちながらも理不尽を乗り越えたとき、そのときこそしっかり「よくがんばった」「乗り越えたね」「気持ちを切り替えられたね」と、前向きに褒めてあげます。

「泣いちゃダメ」「わがままを言うんじゃない」と抑圧するのではなく、感情がマイナスの方向に揺れていることはしっかり見守ってあげます。そのあとで気持ちをフラットに戻せたときが「ここぞ」という褒めポイントになるのです。

褒めるポイント③自分の意見を言ったり、表現できたとき

もうひとつ、大事な褒めポイントとなるのは「自分の意見を言ったり、表現できたとき」であると考えます。

子どもの考えや行動、感情にはすべて理由があります。その理由があってこそ「この先をどう見据えたらよいか」もわかるはずなのです。

子どもの心を育てるためには、大人の教えと、子どもの気持ちや意見の両方を尊重しながら擦り合わせていくという「アサーティブなコミュニケーション」がとても重要です。

まずは、子どもが未熟な表現力や語彙を使って、自分の想いや考えを話したときは、しっかり褒めて認めてあげるとよいのではないでしょうか。

それを踏まえて「あなたはそう思ったんだね。しっかり気持ちを話せたね!ただ、今は○○という事情があるからそれはできないんだよ」という話合いにもっていけると理想的です。

子育てのブームに流されないで。褒める姿勢も叱る姿勢も、どちらも必要

「褒める子育て」というのは、一種のブームだと考えてください。確かに、褒めるポイントの的をしっかり絞って実践するのであれば大いに効果的。しかし「何でもかんでも褒める」「褒めてさえいれば大丈夫」というのは安直過ぎるということを知っておく必要があります。

褒める姿勢も当然大事、しかし叱ることや毅然とした態度で指導することは親の大事な役割です。

もちろん、少しくらい褒め方を間違えても、叱り方を間違っても大丈夫。神経質になりすぎる必要はまったくありません。

「褒めるだけでもだめだし、叱るばかりでもだめなんだ」という、バランスを保つ必要があるということです。

また、褒め方には重要なポイントがあるということを知っておけば、どこでどんなふうに褒めればいいのか、という方向性も掴めてきます。根拠をもった褒める・叱るを実践することで「どうやって接すればいいの?」という不安も解消していくでしょう。

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この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。

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