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子どもに優しくできない…お母さんの「エネルギー不足」をどう乗り切るべき?

多忙な家事育児に追われていると、心身の疲れやストレスから子どもに優しできなくなることがあります。

些細なことでいらだち、眉間にしわを寄せてしまう。子どもの要求に快い返事をしてあげられない。大きな声で叱ってしまう、時には手を挙げてしまうことだってあるかもしれません。

このような様子を、一般的には「子どもにイライラをぶつける」「子どもをストレスの捌け口にする」というように見ることが多いですよね。

しかし当のお母さんは、子どもにイライラをぶつけてスカッとしているわけではありません。子どもに優しくできない、つらく当たってしまう自分自身を激しく嫌悪し、さらにストレスを倍増させてしまいます。

この記事では、育児疲れで子どもに優しく接することのできないお母さんへ、今すぐできる具体的対処法と、知っておくと心が楽になる知識をお届けしたいと思います。

子どもに優しくできないとき、お母さんのエネルギーは空っぽ

まず、子どもに優しくできないときは、たいていの場合「お母さんのエネルギーが足りていない」状態です。

母親なのに……

わたしってダメだ……

そう思う前に、お母さん自身のエネルギー量が物理的に足りていない可能性を疑ってみてください。

現代の家庭はほとんどが核家族です。周囲に頼れる人がいない、夫の協力が得られない、そもそもシングルマザーであるなど、お母さんが子どもをひとりでずっと世話しなければいけない状況にあるケースが多いです。

男性の育児参加が進んでいるとはいえ、それはまだまだごく一部のことです。

しかし実際は「本来、人間はひとりの親だけで育てられるようにできていない」とも言われます。複数の大人が交代で世話をしたり、さまざまな大人と触れ合いながら成長すること、負担を分散することが理想的だとされています。

それに対して、現代のお母さんたちは、それを2人も3人も見ていることだって当たり前にあるわけです。

ワンオペで育てた子どもは問題が生じる……という話ではありません。

家事育児の問題やタスクをひとりで抱え込むことで、お母さんが潰れてしまうのは当たり前だということなのです。現代の家族事情ではお母さんのエネルギーが空っぽになるのは当然であり、子どもに優しくできないのはお母さんの努力不足などではない、という話なのです。

それなのに、多くのお母さんたちは「子どもに優しくできなかった」「子どもに感情的になってしまった」と、子どもの寝顔を見て後悔し、涙したりする。これっておかしくありませんか?

もちろん「ごめんね」という気持ちをもつことや、育児に反省点を見つけることは親としての成長を促すことでもあります。しかし「自分はダメな母親である」と自責感情をもつことは、今後の育児生活をプラスにすることはありません。劣等感や罪悪感を倍増させてしまうため、さらにストレス過多になっていく恐れもあると私は考えています。

【体験談】子どもに優しくできず、顔を見ることもつらかった筆者の話

筆者は、2人の男の子を育てています。今までの育児生活の中で「わたし、このままではいけない」「親として危ないのではないか」と感じた時期がありました。

それは、長男が5歳、次男が3~6ヶ月くらいのころでした。当時わたしは専業主婦でしたが、夫が体を壊しており仕事以外はほとんど部屋にこもって出てくることができない状況。

夫はとてもいい父親ですが、当時は本当に体が悪かったので頼ることは不可能でした。お互いの両親は遠方に住んでおり、それぞれ仕事ももっていたため、子どもを預けることや訪問してもらうこともできません。

生まれたばかりで目の離せない次男。ある程度自分のことは自分でできるようになった長男。

息子たちふたりを、わたしはほとんど1人で育てていました。

しかし、だんだん長男のことが可愛いと思えなくなっていくのです。生まれたばかりの次男は、か弱く、どう見ても可愛い。でも、長男は何をしても可愛くなかった。

言葉もちゃんと理解し、ある程度のことは自分でできる5歳児です。まだまだ小さな子どもですが、わたしは当時長男に甘えていたのだと思います。

一時期は、長男の目を見ることもできなかったことがありました。

怒鳴ったり、手を挙げたりすることだけは避けよう。そう思いましたが「温かいお母さん」として、優しく接することがどうしてもできなかったのです。(この状態は息子たちの成長と、夫の体調回復とともにだんだんと落ち着いていきました。)

わたしのこのような反応には、わたし自身の生育歴によることや長男の特性など、いろいろな理由が絡み合っていたと思います。

でも、やっぱりあのときはどう考えても母親であるわたしのエネルギーが枯渇していました。育児ノイローゼなのではないかと疑い、検索をかけたこともあります。

息子に優しくできないとき、わたしは解離していました。自分を遠くから見ている自分がいたのです。

「何を言っているか」「どんな顔をしているか」と、もう一人の自分が観察しているような感じです。自分がどんな表情で、どんな言葉で対応しているか、全部わかっている。

でも、どうしても変えられないのです。

そんな自分を自己嫌悪してつらい……と言いたいところですが、いちばんつらかったのは長男です。当時、それもすべてわかったうえで、自分の「反応」を変えられなかったのです。

子どもに優しくできないとき、心得ておきたい3つのこと

子どもにイライラする、優しくできない、可愛いと思えない……という状況は、お母さん自身のエネルギーが不足しているという状態。誰からも守られていないという感覚や、必死に頑張っているのに誰からも優しくしてもらえないという現実があるのではないでしょうか。

しかし、それを今すぐ解消することはなかなか難しいものです。筆者も、自分自身が育児ノイローゼなのではないかと感じながらも、状況をすぐに改善することは難しく、子どもに理想的な接し方ができないまましばらく時間が過ぎていきました。

今もどこかに、同じような状況に立たされているお母さんがたくさんいるはずです。そこで、以下の3つのことを心にとどめておいていただきたいと強く感じています。

子どもには「楽観的バイアス」という力が備わっている

子どもには、楽観的バイアスという力が備わっており、母親が不安を抱えている状況でも「自分は愛されているのだ」と信じようとする心が備わっているのだそう。

子どもは、親からの叱責や余裕のない対応などを受けても、少々のことではへこたれません。それは「楽観的バイアス」という本能的な働きによって、ものごとを楽観的に捉える力があるためなのです。

たとえ、お母さんが多少育児に不安を抱えていても、理想とは異なる接し方だったとしても、子どもはお母さんを信じているのです。「お母さんは自分を愛しているに違いない!」とポジティブに考えることができる。

健気すぎてちょっと申し訳なくなるほどですが、その子どもの信じる力やポジティブな力に、わたしたちも少しずつでもいいので応えたい気持ちになります。

「優しくするフリ」でもかまわない

子どもが可愛いと思えないときは「あなたを大事に思っている」「あなたのことが可愛いよ」という言葉をかけられなくなります。そこには、心の底からの愛を向けなければいけないという思いが、よけいに優しい言葉掛けや行為を邪魔しているように感じます。

しかし、保育者・子育て支援のプロおうち恭子先生によれば、実際は「優しくするフリ」でもいいし「嘘でもいい」のだそう。なんとなく「子どもは親の嘘を見抜いているのではないか」「可愛いと思っていないことを感じ取られてしまうのではないか」……と思うと、優しいフリをするのもなかなか難しいもの。

でも、優しく接することや子どもにかける言葉は、嘘でもいい。これはわたし自身とても衝撃的でした。

本心でこんな不安や不快感情を抱えながら子どもと接しても、何もいいことはない。そう思っていた部分があったのに対し、本当は「嘘でもいいから、温かい言葉をかけてあげる必要がある」とのこと。

形だけでもいいとわかるだけで、少し心が軽くなる気がします。

衝突してしまったときは「快」の感情で終えること

もしも子どもに怒りをぶつけてしまったり、衝突してしまうようなことがあっても大丈夫。

子どもと親も、人間同士です、感情がぶつかったり、喧嘩やもめごとになることもあります。

本来、大人が余裕を持てていれば子どもの「さみしい」「悲しい」「怒り」などの不快感情に、冷静に付き合ってあげやすくなります。しかし、子どもに優しくできないほど心身ともに疲れ切っている状態では、それを実行するのは難しいでしょう。

仮に衝突が起こった場合でも、お母さんも子どもに反省すべき点についてしっかりと謝り「さっきはごめんね。お母さんは疲れていたんだ。あなたのことは何があっても大事だし、好きなんだよ」という、快の感情を伝えてあげる。

「快」の感情でやり取りを締めくくるよう意識するのも、子育ての現場で大事にされていることです。

場所なんかどこでもいい!「吐き出す」「ぶつける」ことが重要

子どもを可愛いと思えなかったり、優しくできな刈ったりするときは、どこでもいいので吐き出すことをしてみてください。相談しに行くことや、悩みを打ち明けるのは怖いと感じるかもしれません。

しかしこれは、あなた自身のためだけでなく、子どものためでもあるのです。子どもに負の感情をぶつけないために、あなたができることなのです。

自治体の支援施設や電話相談、カウンセリングなどを使うのも賢い選択です。SNSなどに書き込む方も少なくありませんが、できれば相手がいる場所のほうが効果は高いでしょう。

「そうだね、つらいよね」

「頑張ってるね、えらいよね」

そうやって「優しさ」をどこかでもらえないと、お母さんのエネルギーは枯渇したままになります。夫や家族、友人でもいいので、ゆっくり親身になって話を聞いてくれる相手に「吐き出す」「ぶつける」ことをやっていきましょう。

子どもに優しくできないときは、お母さんのエネルギー不足を自覚して

子どもに優しくできないのは、お母さんが未熟だからでも、努力不足だからでもありません。子育ては、毎日が「初めての経験」だらけですので、立派なお母さんや完璧なお母さんになれるわけがないのです。

だからこそ、自分の育児の困難はエネルギー不足をまず疑う必要があります。

今すぐ何かが変わらなくてもいいし、全部自己責任にしなくていい。そう思うだけでも、気持ちが楽になるかもしれません。

関連記事:「子供がかわいくない親は最低」という考え方こそが、母親を追い詰めている。

この記事を監修している人

SFR代表理事:鶯千恭子(おうちきょうこ)

精神保健福祉士●保健師●養護教諭1種●心理EMDRトレ他

保育士や子育て中のお母さんたちへの講演実績多数。

「心育て」「人格形成」のスペシャリスト。